2023年6月19日と6月26日に行われたイベント「先輩と話そう」。
今回は、6月26日の回の実施レポートをお届けします!
このイベントでは、5月に行われた春セミ(令和5年度学問論の一部として行われた、学生が1年生に講義・演習を行う取り組み)で珍しいテーマで授業をしてくださった、経験も個性も強い「センセイ」3名にご登壇いただきました。
【参加者】
(写真左から)
青山敦 Aoyama Atsushi(工学部化学・バイオ工学科4年)
春セミでは「マジカルバナナを本気でやってみた! 〜スタンフォード大学式デザイン思考〜」のセンセイとして参加。普段は科学工学の研究やビジネス関連のこと、教職課程の勉強を含む教育関係のこと等様々な分野を学修している。
仲谷絹 Nakaya Kinu(文学研究科日本文学専攻 博士1年)
春セミでは「生活の見直しから始める課題発見・課題解決アプローチ」のセンセイとして参加。普段は学部生時代は演劇部に所属しており、現在は絵を描いて同人誌のような本を出してイベントに出たり、アルバイトとして不動産屋の会計事務をしたりしている。
鈴木智也 Suzuki Tomoya(理学部物理学科3年)
春セミでは「文系も理系も集まれ! おのまとぺワークショップ」のセンセイとして参加。現在は東北大学で最も大きい国際交流サークルのアイプラネットの代表をしている。また、2023年8月からアメリカに留学するため、そこで研究するために半導体関連の研究のトレーニングをしている。
-夏休みなどの長期休暇をどう過ごしましたか?その理由を教えてください。
鈴木智也さん (以下、鈴木)
僕は1年生のとき、夏休み・春休み3〜4週間ずつオンラインで留学に行っていました。マレーシアとアメリカの大学で、英語力の向上や文化体験をしていました。
やっている最中は、夏休みの半分ぐらい仙台の家にこもって、一日中パソコンに向かって授業を受けて、終わって疲れて、を繰り返していたので、留学中はきつかったです。だけど、今となってはその経験があって、国際交流サークルでの活動や他の留学に繋がったので、その過ごし方は結果的には良かったかなと思ってます。
国際交流のサークル「IPLANET」に入ったきっかけはこの2回のオンライン留学でした。高校までは英会話も経験がなく、本当にリーディングとリスニングも大学受験に使った分の能力しかなかったので、本当に喋れなかったんです。ただその2回のオンライン留学を通じて段々自信がついてきて、対面で来た留学生と話せるようになって、さらに自信がついたので、何かやってみようかなとサークルに参加しました。
また、春休み中にハッカソン(=ハッキング+マラソンの意)という、ビジネスコンテストよりもテクノロジー的なプログラムを作り続ける企画に出ようという話を友達とし、打ち合わせを週3くらいで1回あたり2〜3時間していました。つまり、休み期間を何かプロジェクトを立ち上げるための期間として使っていました。
仲谷絹さん (以下、仲谷)
私はずっと家の中にいるのですが、最近やったことといえば自分で本を作ることですね。今まで趣味で絵や文などいろいろ書いていたのですけれども、「データ」としては残っているそれを「物質」として残してみたいなと思って、自分で印刷所とかを探し始めました。紙・豪華度・締め切り・早割を含む料金調べ、設定、選定とかいろいろやることがあります。そして、いろいろな会社を比較して表紙のデザインと中身の原稿、文章等と…っていうのを全部装丁から何からやって作って、そして何かイベントに出るっていうのを、一応やってみてきました。
やってよかったなっていう思ったのは、まずいろいろなものの調べ方がわかるようになった点です。例えば印刷所ですね。名刺を作る時や自分で研究の書類とかで作る時になると、どういう印刷過程なのかっていうのは知っておかないといけないことだったので知れてよかったです。それと、素人ですけれども、デザインとか絵を一定のレベルまでできるようになったことや、スケジューリング能力ですね。夏休みとか春休み自体はもう誰からも縛られない所なので、そこで「下書きまで終わらせる」、「手入れまで終わらせる」、「案作りまで終わらせる」とか過程ごとに自ら計画を立てました。表紙のデザインを決めるとかそういう工程ごとに、ニスを取ってやるっていうのを1人で全部動かせたのは良かったなっていうふうに思っています。
今年の春休みは2冊出しましたが、今のところは基本1休み1冊という感じで計4冊出せました。頑張りました。続けることだけはすごく頑張れる。だからドクターまでいると思っています。
最後まで計画をやり抜く秘訣は、先にお金を払っておくことだと思います。本当に真理なんです。ちょっとだけサイトの話もしましたけど、サーバーっていうアップロードに必要なものを借りなきゃいけないんですね。そこのお金をお試しとかじゃなく1年分とか先に払っておくことによって、もう勿体ないぞっていう気持ちにして本を出すっていうのが大事です。お金をある程度使えるようになったらこれはかなり効きます。縛りです。
青山敦さん (以下、青山)
僕は何の軸もなしにいろんなことやってきた人間で、自分の専門分野以外のことをやってきました。工学の人間だから化学とか物理の勉強をしておけという話なんですけど、せっかく文学部も経済学部もいろんな学部が集まっているところで、ただ工学やってると面白くないなと思って。
例えば、ビジネスに関わる事をやってました。そして、夏休みとか春休みの期間は、東北大学の中に限らず外にもいろんなプログラムがあって、「君ら暇やろ、うちこーへん?」みたいなことを言ってくれる会社さんがめっちゃ多いわけですよ。だからそういったところも使いつつ、工学以外のこと、僕がやったのは経済とか、そこから発展してデザイン思考で考え方の勉強をしたりしました。他にもやっぱり時間があるので、自分で何かイベント企画してみようかなと思って、やってみました。なので、工学以外のことにチャレンジする期間として、使っていました。
その中で一番印象的だったのは、「東北大学イノベーションフェスティバル」というものです。開催自体がこの(2022年の)夏休みですけど、企画とかを主にやったのは1年前の夏休みです。新1年生に聞くと、20人に1人が「ベンチャー企業を立ち上げたい」、10人に1人は「何かそういったことには興味ある」のに、表に出てくる人が少なくないかと感じ、何か掘り返したらいろんな人がベンチャー以外でも課外活動に興味がある人がいるんじゃないかと思いました。そして、もっと盛り上げたら面白いよねということを考えて発案をし、次の冬休みでクラウドファンディングに挑戦しました。ちょうど年末年始の休み期間に生協の前に置いてある「ともプロ」というクラウドファンディングの初年度版に挑戦して50万円集めて、春休みにいろんな人たちでどうやったらみんながこのイベントに参加してくれるか、どんな人たちが活動してるかなっていうのをずっと調べて、声かけて一緒にやろうぜって言って、最終的に夏休みに実施しました。「こんなんあればいいな」っていうことを、あらかじめいろんな人に大きい声で言っておくんですよ。するとたまに協力を申し出てくれる人が現れるんです。実はクラウドファンディングは自分から応募したんじゃなくて、東北大学基金さんから「お金が必要でしょ、それやるんだったら、うちとやりません?」って感じで声かけてもらいました。さらに、こんなんやってみたいって言ったら、たまに「手伝わせてよ、どんなことができる?」って言われるんです。「どんなことができる?」って言われたら、大急ぎで仕事を考えるわけですよ。グループを探して何か面白いことをやってるって分かったら「彼知ってるからここに呼んだりするわ」とか言って頼みます。一緒にやりたいって言ってくれる人がたまにいる、だからやりたいことは自分が一歩まだ踏み出していなくてもやりたいやりたいって言っておくんですよ。こういう感じでどんどん物事が進んでいくっていうような感じじゃないですかね。だから最初はやりたいってだけ言ってたら、それで全然OKだと僕は思います。
規模が大きく、俺そんなのできると思ってなかったというのが実際できたので、良かったなと思っているので、印象的です。
ー大学生活の最初である一年生の期間のうちに何をすべきだと思いますか?
鈴木
やっぱり僕が思うに、一年生ってこれからいろいろ何かやっていくみたいな時期かもしれないですけど、僕ら先輩からすると、一年生って、もう「最強」なんですよね。 なんでかっていうと、例えば赤ちゃんって言葉喋れないし、泣いたらみんなが気にかけてくれるじゃないですか。みんな気にかけて、ご飯あげるとかあやすとか、色々してくれる。それと同じで、その大学っていう中で一番経験が浅い人っていうのは、その上の人に対して何でもリクエストできる権利があるんですよ。だから、もちろんいろいろ行動して色々な場所に行って、人に話してほしいんですけど、「こういうことしたいんです」とかをゼロベースでいえるんですよね。僕らだったらもうある程度、例えば理系のことだったら、君は量子力学勉強してるねとか、それだったら何かイノベーションのことやってるねっていう前提を要求されるんですよね。基本的には一年生ってのはそれが何もなくても、例えば教授とか、社長とか、こういうことしてる人とか、先輩とかに話を聞きに行けるのですよ。そういう意味では、今の時期を最大限活用して、こんな感じで足を運んで話を聞きに行って、個人的には「〇〇さんはさっきお話ありがとうございました、めちゃくちゃ感銘を受けて、実はこういうこと好きなんですよ」と、「こういうこと興味あるんすけど」ってことを言うとめっちゃいいと思います。なので、ぜひこのいろいろな先輩に話を聞いた今の特権を活かすっていうことをして欲しいです。
仲谷
私はそんなにガッと行動できる感じじゃないので、リアルな話、私今年で25歳になるんですけど、同じ歳で就職したり研究をやったりしている友人たちが結構困っているのが、仕事と研究以外に、ほっとできる趣味がないことなんですね。いろいろな大きいこととかをすることもあるし、学部生時代ならやらなきゃいけないことがすごいたくさんあって、それを一生懸命やってるだけで結構成長できるんですよ。ですけど、ちょっと熱中できる趣味とか、成果が出せる趣味じゃなくてもよくて、ちょっとやると楽しいけどずっとはできないみたいな趣味でも全然いいんですけど、そういうのを持っておくってよりよく生きることに大事なので、心に留めておいていただけると、多分皆さんが25歳になったときに廃人みたいにならずに済み、救われると思います。
青山
せっかく大学に来て勉強してるじゃないですか。大学生ですよ。ワクワクすることをやってください。ワクワクすることが皆さんそれぞれ違っていいんですよ。誰かが理解してくれたらそれでいいので、ワクワクすることをやってください。法律だけには引っかかったり命を落としたりしないでくださいよ!そういうものでなければ、どんなわくわくすることやってもらっても大丈夫です。東北大学ですよ。できないことはないですよ。お金が潤沢にありますから。しかも、いろいろな学部もあって、いろいろな先生もいて、こんなに面白い先輩もいて…何でもできるんですよ。なので、皆さんがワクワクすることに忠実にチャレンジしてみてください。それが別に学術じゃなくてもいいし、僕みたいにイベントやるっていうのでもいいし。そうやって何か自分がわくわくできることを様々な物事にチャレンジして時間がかかってしまうかもしれないけれど、なるべく早く見つけましょう。そうすると、きっと皆さんの大学生活がすごく色とりどりで華やいだものになるかなというふうに思いますので、ワクワクっていうのを大事なキーワードとして頑張っていただけたらなと思います。