Voice

先輩の声

大学生活であなたの将来に変革を ー さあ、一緒にキャリアデザイン!!

<撮影:東北大学報道部>

猪股 歳之 (いのまた としゆき) 先生
東北大学高度教養教育・学生支援機構 キャリア支援センター 教授
東北大学大学院教育学研究科 修了/博士(教育学)
研究キーワード:キャリア教育、就業、高等教育
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記事作成:2021年12月
メンバー:伊藤真(工B1)、江川あや(歯B1)、三枝涼(工B1)、佐藤龍馬(工B1)

「キャリアデザイン」についてご存じですか??

「キャリアデザイン」とは…
将来のなりたい姿やありたい自分を実現するため、
自分の職業人生を主体的に設計・実現していくことです!

キャリアデザインってする必要あるの?
具体的にどうしたらいいの?
私たちにできることって…?

こんな疑問に答えるべく
東北大学キャリア支援センター、副センター長の猪股歳之先生
から、お話をお聞きしました!
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Topics:
①キャリアデザインの基礎知識となる日本の就職システム
②グローバルなキャリアデザイン
③大学生とキャリアデザイン
④先生の経験談と大学生へのメッセージ
⑤編集後記
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日本の就職システムについて

キャリアデザインについて話して行く前に、皆さんに知ってほしいことが1つあります。それは、日本の就職システムが海外と比べて特殊だということです。意外ですよね?新卒一括採用で会社に入って定年までその会社に勤める以外にどんな方法があるの?と思ったかと思います。

日本の就職の採用方法はメンバーシップ型__________________

実は、就職は採用の方法と時期をそれぞれに2つの種類に分けて考えることができるんです。まず採用の方法の1つ目が、業務を指定されず会社の「一員」として採用するメンバーシップ型と言われる採用方法です。これは多くの日本企業がとっている方法で、スキルの有無だけでなく、上手に人間関係を作れて協調性があるのかにも重きをおいて採用の可否を決める方法です。

そして2つ目の方法が業務を指定し、会社の一員としてではなく一専門家として採用するジョブ型です。これは日本以外の多くの国で採用されている方法でスキルの有無だけではなく、その習熟度に重きをおいて採用の可否を決める方法です。

続いて採用時期に関してですが、1つ目は皆さんおなじみの新卒一括採用です。学校を卒業したと同時に入社する方法で学生のうちに就職活動を行う必要があります。
そして2つ目がポストが空いたらそこに応募する方法です。日本以外の多くの国ではこの方法が採用されていて卒業してから就職活動をするため学生の間は学業に集中することができます。

日本の雇用形態は変容しつつある______________________

このように日本の雇用形態は非常に特殊です。しかし、この雇用形態が今変わろうとしていて、だんだんと海外の方法に近づこうとしているんですよ。ただ、完全に移行するにはまだまだ時間がかかるので、これから就職活動に挑む君たちはこれまでの就活生と同じような能力の育成や準備はもちろん、新たな採用方法や職業キャリアにも対応した様々な能力を養って行く必要がありますね。その様々な力を養うには大学での過ごし方、意識の持ち方が非常に大切になって来ます。これから、その方法について一緒に考えていきましょう。

グローバルなキャリアデザイン

どうすればグローバルに働けるかを考える__________________

グローバルに活躍するってどういうことを想像します?国内外問わず世界中で働く方法だけでなく国外か国内どちらかで働く方法もあると思うんです。どちらの道でも情報収集って大変だと思うんですが、どちらかに絞っていた方が情報収集効率は格段に上がります。

例えば民間企業で働くって言ったときも海外の現地の民間企業に勤める方法もあるし、グローバルなことをやっている日本の企業に入るという方法もある。どういう働き方が自分が思うグローバルに働くことに合っているのかということをイメージしてもらって、そこで働くにはどうしたらいいのかを考えることが効率的だと思います。

また日本国外で働くときは、日本企業のように新卒一括採用が一般的というわけではないので、新卒でいきなり入る人ばかりではないという認識が国際的に働く場合にはまず重要になってきます。例えば国際機関で働くためにはどこでどういうステップを踏めばいいのかということも考えていく必要がありますね。

留学生と帰国生のキャリアデザインはより大変________________

日本と海外では就職システムが大きく違っていますよね。だから新卒採用が少ない世界で生きてきた留学生や帰国生にとってはそのシステムはとても理解しにくいです。

例えば留学生や帰国生は勉強をずっとしていて、卒業してから就活だからねって思っていたら気づいたら「みんなもう内定もらっていて、私はもう就職できないのか」みたいな話になっちゃいます。

また日本のメンバーシップ型は海外のジョブ型と違って求められている人材も違う。このような違いに対する理解も高いハードルなんですよ。

日本人学生が留学生をサポートしていく___________________

こういった留学生や帰国生の困難に対して日本人学生ができること、助けられることはそれらの理解を手伝うことです。世界から見て日本は本当に特例だからその状況をきちんと留学生や帰国生に在学中に理解してもらいたいんです。

これからは本質的なところで留学生なり帰国生が生活しやすい、あるいはいろいろな活動にスムーズに参加できるとかそういうことが求められるようになってくるので、そういうところでのサポートも大事ですね。

大学生とキャリアデザイン

卒業後だけでなく大学生活もより充実させる_________________

現代の大学生には特に今後の人生について考えるキャリアデザインが求められています。その意義とは大きく2つあると思うんです。

1つは大学生活を充実させる効果です。大学を最終学歴とする人が多いので、その後の社会でどう生きていくかというところと深く関わっています。そのまま社会に出てゼロから始めるんじゃなくて、大学時代を社会に出る準備の期間として使っていくというのは非常に重要だと思います。大学生活をどう有意義なものにするのかというところにキャリアデザインの重要性があると思っています。

もう1つは大学卒業後の話です。キャリアデザインは卒業してからどう生きていくかというところに関わってくるわけで本来の意義はこちらにあると思います。メンバーシップ型では職業キャリアのデザインを会社や組織がやってくれると考えることができます。就職して会社から辞令が出てそれをやっていけばおのずと自分のキャリアになって。だけど現在はそれが崩れてきていて、今でもその仕組みが残っているものの代表は公務員かと思います。名だたる大企業でも社員の生涯のキャリアは保証しないという方針を取るところもでてきています。

キャリアデザインをどういうふうに自分で作っていくのかというところで、会社に任せるのではなく自分で考えていくというところに変わっていく。それがとても大事ですね。皆さんの親世代とは全然違うので気をつけないといけないところだと思います。

自分に合った方法でキャリアデザインを___________________

方法はいろいろあると思います。一つの方法にこだわる必要は全然なくて自分自身で自分を捉え直す、自分の特徴を考えるというところから将来のデザインを考えるというやり方もあるし、逆にどういう仕事があるのかな、地元で働きたいな、親の近くにいたいな、というようなところから入ってもいいと思うんですよ。

だからいろいろな方向からやり方はあると思いますので、何か自分の中で大事にしたいものを見つけて、それをベースに将来のキャリアというものに発展させていけばいいんじゃないかと思いますね。

まずは本やメディアを通して知っていることの幅を増やす事から始めてみると良いと思いますよ。やりたいことが決まらないという人がいますが、
「やりたいことって知っていることの中からしか生まれない」
ですから。

夢や目標に一直線になることのメリット・デメリット_____________

夢や目標をかためると、チャンスを逃してしまったり広い視野で学べなくなったりとリスクがあるという意見もありますよね。これに関してはメリットデメリットは両方あると思うんです。結局は程度の問題なんですけどね(笑)。

無目標でいろんなことに意欲的に取り組めている人ってあんまりいないと思います。ごくたまに、これはすごく望ましいんですが、目標が無くても意欲的に取り組める人もいると思うんですよ。でも、そういう人は稀なので目標を持つことは意欲的に取り組むためにも大事ですね。ただ、目標を固定することによって、それ以外の情報を捨てて見向きもしなくなったり、その目標に固執したりが起こってくると、これはかえって自分の可能性を狭めることになるのでその塩梅は難しいです。

また、日本はメンバーシップ型なので仕事が細かく選べないんですよ。この業務に興味があって入社したのに、実際の業務は別とか。だから幅広い関心も大切になるんです。

結局、目標や関心を絞らないというのは、いろんなものに関心を持つという前提であればとてもいいと思います。だけど絞らないことで、何にも関心を持てませんとなってしまうと、これはとっても最悪です。その辺気をつければ幅広く学ぶというのはとてもいいことだと思います。

先生の経験談と大学生へのメッセージ

大学生はいろいろやることが大事______________________

私が大学生の時は本当に遊んでいたんですよ(笑)。全然大学に行かなくて。大学に行っても談話室で待ってるわけ、そうすると誰かがきて「じゃあ遊びに行きますか」みたいな感じだった。生協か談話室で誰かと会って遊ぶ。本当にそういう自堕落な生活をしていて、いよいよみんな本当は普通に就職活動にスライドしてたんだけど僕はなんか乗れなかったね。なんでキャリア支援をやってるかというと、やっぱり僕みたいな生き方は良くないと思っていて。そうならないように学生をサポートをしてあげたいなというふうに思っているからというのもあります。

ただ、僕はいろんなものに関心があって、人より取った授業の幅はすごく広かったと思う。履修届を出して受けに行かないから、その空いた時間で他学部の授業をうけにいっていたんですよ。本当に他学部の履修とかも多分全然他の人より多いと思う。いろんなことをやりましたよ。文学部で考古学の勉強をしたり、法学部や経済学部の授業とかも取ったりしたし、いろいろやったのが面白かった。遊びも勉強も。
勉強だけじゃなくてやっぱり勉強以外の活動っていうのも大学生にとってはとても重要なんですね。

大学生ができる二つの大切なこと______________________

メンバーシップ型の就職ではやっぱり、メンバーとしてやっていくためには人といろんなことをするという経験がものすごく重視されます。だから就活の際に、「勉強だけやった」って言っても勉強って一人の話なんですよね。逆にサークルやアルバイトというのは、結局その、「人間関係をうまく作ってやっていくことができます」ということを語るための材料としては使いやすいものなので、そういった活動ももちろんやってもらって、趣味を伸ばすっていうのも大事だし勉強以外のことも一生懸命やってほしいなというふうに思いますよ。

また、決められたカリキュラムどおりにやっていくということに疑問を持たないというかそれに従順すぎる人が結構多いなという感じがします。「自分から行動してみること」、これがとても大事です。学生時代って、うまくいかなかったり、失敗したりしても許されるというか、なんとかなるというところもいろいろあるから、いろいろ思ったらやってみるというのは意識してみるといいんじゃないかなと思います。

あともう1つは「人とつながること」ですね。大学では苦手なことを避けられるんですよ。これって大学のいいところでもあり、悪いところでもあると思うんですけど、高校までは強制的にみんな一緒にいろんなことをさせられたけど、大学では自分が嫌なことを避けて通れる。

だけどそれって、将来のキャリアというところでいうとマイナスに働くことが結構あるので、苦手なところだけど必要だと思ったら、やっぱりそれをなんとか克服する、あるいはそれをカバーするための手立てで何か別の力を伸ばすとかを今のうちに考えておいたほうがいいと思います。

ライフキャリアデザインの観点からいえば、自分の特徴を知ってもらって自分のどこを強化しようか、そのためにはどういう活動したらいいのかなというふうに考えてもらって行動してもらえばプラスに使えるんじゃないかなと思いますね。まずは、「自分から行動してみること」、そして「人とつながること」。この二つを意識して大学生活を送ってもらえたらいいなと思います。

編集後記

日本の就職システムとキャリアデザインの関係の深さに終始驚いた。卒業後うまく生きるためのキャリアデザインだと思っていたが、キャリアデザインは大学生活にも深く関わり充実させるためには必要不可欠だという先生のお話は強く心に残った。やりたいことが定まらないという人がよくいるが無気力にならずこれを読んで自分の意識を切り替えるきっかけとなればと思う。(佐藤)

自分自身は大学生から始めるキャリアデザインについて否定的であったが、先生の過去や現在の就職システムを踏まえたキャリアデザインの必要性について聞く中で、考え方が変わった。将来の仕事を決めることがキャリアデザインだと思っていたが、職種を定めるだけでなく自分が何をしていくかという事を決めていくのがキャリアデザインのひとつで、ただ漠然と広い視野をもつのではなく興味の濃淡をつけた方が良いのではないかという言葉は自分にとって深く印象に残るものであった。同じようにキャリアについて深く考えていない、あるいは考える必要がないと思っている大学生は自分以外にも多くいると思うので、この記事を読んで一度その意義について振り返ってみてほしい。(伊藤)

先生のお話を伺って、キャリアデザインの大切さについて改めて考えさせられた。特に「やりたいことって知っていることの中からしか生まれないんですよね」というお言葉には関心させられた。この記事が、自分の教養を深め将来の可能性を広げる為にも大学生のうちに様々なことに挑戦し、たくさんの失敗を積み重ね、社会の一員となる澪標になればと思う。(三枝)

今回のインタビューを通して、日本と海外の就職システムの違いを改めて認識できた。これからグローバルに活躍したい人に少しでも助けられればいいかなと思う。また自分がやりたい仕事を見つかった人でも、見つかっていない人でも、専門性高い学部に入ってキャリアデザインできる範囲が狭いのでしなくてもいいと思っている人でもこの記事を読んでもう一回考え直して欲しい。キャリアデザインは職業を選ぶためだけではなく自分のこれからの人生にも深く関わっているので将来働く自分の姿を想像してみて、なりたい自分になってください。(江川)