中村 悠斗 NAKAMURA Yuto
(東北大学工学研究科 修士課程1年)
長野県出身。
SLAとして、主には大学1,2年生に物理関連科目の学習サポートを行っている。
現在は研究室での研究に励みながらインターンなどの就職活動にも取り組んでいる。
インタビュー実施:2022年11月16日
◇SLAはどういったことをしているのか
中村さんはSLAの1人としてご活躍なさっていますが、SLAはどういったもので、どういった方が利用されるのですか。
SLAの主な対象は、全学部の1年生と2年生になっています。例えば、僕はSLAの物理部会というところに所属しているのですが、高校の物理と1、2年生で受ける大学の物理では、やはり違いがあります。その学習過程で躓いてしまった学生さんから相談してきてもらい、その問題に対応しているという感じです。
方針としては、最終的には僕らが助けなくても自分たちで解けるようになるように、「主体的に学習する」って言うんですけど、僕たちはそういう学習姿勢になることを目標にした対応を目指してます。
学生さんが「主体的に学習」できるようにするために、何か工夫されていることなどありますか。
学生側からわからない問題がある、と質問が来たときに、僕たちは答えがすぐにわかったとしても、答えはすぐに教えずに学生側に考えてもらう対応を心がけています。やっぱり答えを知りたいと思っている学生側のニーズと少しずれてしまう時もありますが、学生が最終的な答えに辿り着けるように、うまくサポートしながらやっています。
◇良い実験レポートを書くためには
理系学部のほとんどの学生が必修科目として履修する自然科学総合実験、通称「自科総」ですが、多くの学生にとって自科総は強敵とも言える存在だと思います。中村さんご自身は1年生のとき自科総で苦労されましたか。
今の自科総と、僕のときの自科総は形態がかなり違うと思うのですが、僕のときは手書きの実験レポートだったので、手書きをするのに時間が掛かり苦労していました。僕は友達と一緒にわからないところを解決しながらやっていました。図書館で本を調べたりとかはあまりせずに、テキストの内容をうまくまとめる形で実験レポートを書いていましたが、良い実験レポートにするなら、図書館などでもう少しわからない場所を幅広く調べたほうがよかったなと思います。
SLAには自科総とか実験レポートの相談にくる1年生もいると思うんですけれども、SLAに相談に来る1年生が抱えているつまずきポイントがあったりしますか。
自科総についての相談だと、実験レポートの書き方がわからない、という質問がよく来ます。実験レポートには、目的書いて、実験の原理書いて、といった決まった形があるんですけど、その辺をどう書いたらいいかわからないっていう、結構漠然とした悩みを持つ学生が多いです。僕たち修士1年になると実験レポートを結構書いているので、こう書いたらいいよという感じで具体的に教えています。
そういった漠然とした質問にはどう対応されてるんですか。
まず実験レポートだと、その章を書く目的や、書かなければならない内容を教えた上で、あとは質問に来た実験レポートの内容を具体的に見て、直した方が良い点を具体的に直していくという風にやってます。やっぱりどうしても具体的にやってみないとわからないことが結構あるので、やってみてイメージをつかんでもらう、という対応になります。
中村さんの専攻である航空宇宙工学でも、学年が上がると学生実験や研究室で実験レポートをたくさん書かれたと思うのですが、実験レポートの取り組み方や書き方でコツがあれば教えてください。
友達や知ってる先輩とかに聞いたりしていました。あとは、あんまり良くないのですが、先輩の実験レポートを少し確認して、どういった内容かをある程度知っておく、といったことを一番にやっていました。
いわゆる「過去レポ」ですね。過去レポを参考にする時に、何か意識していることなどありますか。
丸写しをするのは絶対にダメなんですけど、僕は最初の参考として過去レポを使っていました。実験レポートを最初にどうまとめるかが結構難しく、そういった時に先輩の書いている章立ての内容とかを自分なりに確認・理解してから、自分の実験レポートに取り組んでいました。研究室に入って論文を書くときなども先行研究の章立てや文体、表現を参考にすることはよくあるので、こういった活用の仕方を学部の頃から意識していると役に立つと思います。
3年生以降に受けた学生実験と1年生の自科総っていうのは、何か違いはありますか。
一番大きい違いはその内容で、自科総では、専攻とは関係ない科学の実験もあったのに対し、3年生の学生実験は結構自分の専攻と関係ある、専門的な分野の実験が多かったので、そういった点で3年生の実験の方が自分的に興味がある内容が多く、そういった点では専門の実験の方がモチベーションが湧きました。3年生の実験では、専門の授業で先にやっている内容を扱うものが多く、内容がある程度頭に入っていたため、実験レポートを書き始めるのは結構簡単でした。一方、自科総ではそもそも内容も知らないものが多く、テキストで学ぶことから始まったので、結構長く時間がかかった印象です。
自科総の経験が学生実験に活きたなって感じたことはありますか。
実験レポートの書き方はかなり活きたなと思います。それ以外には直接活きたなと感じたことはあまり無かったですが、高校までは実験レポートを書くことがなかったので、実験レポートの書き方を理解しただけでも大きな意義があったと自分は思ってます。
まとめや原理、最後の結果など、書き方が決まっている部分に関してその体裁を知ることができたこと、また、レポートではどういった言葉遣いをするのか、どの程度細かくまとめるのか、といった感覚的なことなどを自科総で事前に学べたのは大きかったと思います。
◇大学院での研究と就活
現在の学生生活についてお伺いします。
中村さんは普段どういったことをされているのか教えていただけますか。
今は研究室に行って研究する、というのが学校生活の中で一番大きいです。あとはインターンなどの就職活動に関することもぼちぼちやっているという感じです。
インターンに関しては、前回行ったのは今年の夏で、長いものだと2週間程度のものに参加しました。実は来週に1日のインターンがあったり、明日も会社の説明会があったりと、そういった感じでぼちぼちやっている状況です。冬にも12月1月に1週間ぐらいのインターンがあって、結構長いスパンでコンスタントにやっている感じです。研究があるときはしっかり研究に集中する、就職活動をする時にはしっかり就職活動する、というようにメリハリをつけて両立するようにしています。
続いて、中村さんの専門分野についてお伺いします。
中村さんは今どんな研究をされてるんですか。
現在発達している画像処理の技術を応用して、物の周りの空気や水の流れの計算を早くする、という研究を行っています。主には、コンピューターでのプログラミング、つまりコンピューターが計算する手順を作っています。説明が少し難しいのですが、計算しろという指令をコンピューターに送るファイルを作る作業がメインになっています。
その研究は、将来どのようなことに繋がるのですか。
動画の処理速度が高速化している現在でも、僕が関わっている物の周りの流れを可視化する分野においては、データ処理や動画作成に関してはそんなに発達しておらず、技術的に改良が求められている分野になります。将来的には、この高速化を実現して解析の結果を即座に見れるようになるかなと思っています。
そういった研究をしていて楽しいと感じたり、大変だと感じるのはどんなときですか。
プログラミングをしているときは結構楽しいなと感じています。授業とかでプログラミングをやっていて楽しいなと思っていたので、研究でもプログラミングをする分野に進みました。プログラミング以外はそんなに楽しいと感じることはないのですが、そのプログラミングが面白くて、研究も楽しいかなと感じる部分はあります。
実は入学前にはプログラミングを全くやってなくて、授業で初めてプログラミングをしました。それも最初は全くわからなかったので友達に聞きながらやっていたんですけど、やってるうちに楽しいなと思いました。
一番大変なのは、プログラミングの間違いを探す作業です。少しでもミスが入っていると動かないとか間違った計算結果を出すとかがあって、それが見つからないと、2、3日かかることもザラにあるので、その時は本当に辛いですね。
最後に、来年度の1年生に向けてメッセージをお願いできますか。
大学では高校までと違って、自分から行動していかないと新しいことに挑戦したり、自分が成長したりできないので、是非興味があることには積極的に自分からやってほしいなと思います。あと、僕は友達に誘われて、軽い感じでサークルに入ったのですが、そういった感じで色々な友達と仲良くすると、自分の世界が広がっていくと思います。是非、積極的に友達を作って、色々な人と仲良くしてみてください!