Voice

先輩の声

上手くいかなくても諦めない

坪井 里穂子 Rihoko Tsuboi
(東北大学教育学部4年)

東京都出身。現在、東北大学教育学部に所属しながら教師と公認会計士を目指して勉強中。

-中学校の頃に熱中していたこと、あるいは特に一生懸命取り組んでいたことはありますか?

カメラが好きでした。写真を撮ったり、カメラを買い集めることに中高生の頃はハマっていました。

-写真部に所属していたわけではなく、個人的にカメラが好きだったということですか?

そうですね。

-例えば、どんな写真をとったりしていたのですか?

修学旅行で写真を撮ったりはしていましたが、写真を撮りにどこかに行くというよりは、日常の風景を写真に収めるという感じでした。

-最近熱中していることは何かありますか。

最近はないですね。勉強が結構忙しくて趣味にあてる時間がないので。時間があるときは本を読んだりします。

-どんなジャンルの本ですか。

小説が多いです。

-おすすめの一冊はありますか。

夏目漱石の『硝子戸の内』という随筆です。晩年の夏目漱石が書いた、自分のエピソードを集めた日記みたいな本です。

-もともと本を読むことが好きだったのですか。

そうですね。もともと読書は好きです。文豪の小説はよく読むという感じではないのですが、中高の時に学校の授業で先生が文豪と呼ばれる人たちを取り上げていて、それで読んだ面白い本を何回も読んでいるみたいな感じですね。

-夏目漱石以外にもおすすめの作家はいますか?

作者が好きというよりはエピソードが好きなのですが、『たけくらべ』もおすすめです。これも学校の授業で読んだ本です。

-卒業論文ではどのような研究をしているのですか。

大雑把にいうとテストの研究をしています。選択式の試験で、正解がどれかはわからないけどたまたま選んだ選択肢が運よく正解だったという経験はあると思います。そういうラッキーな正解が合格/不合格にどういう影響を与えるのかというのを、文部科学省が実施している小中学校の児童の学力を測定する調査のデータを利用して研究しています。

-確かに、選択式だとよくわかんなくても「3番が連続しているから次は4番かな」みたいにして選ぶことってありますよね。この研究内容に興味を持ったきっかけはなんだったのですか?

私は公認会計士の勉強をずっとしているのですが、勘で当たった1問で合格した人、反対に、勘で外した1問で不合格になった人がいて、勘で当たった/外したが合否に影響するのはどうなんだろう、と思って今の研究を始めました。

-自身の経験に基づいて研究が始まっているんですね。

◇公認会計士と教師を目指して
-先ほど公認会計士の話が出てきましたが、公認会計士を目指そうと思った理由を教えてもらえますか。私の友人にも公認会計士を目指している人がいるのですが、ダブルスクールをしてずっと課題に追われていてすごく大変そうです。公認会計士は教育学部とは直接には関係がない資格だと思うのですが、どうして取ろうと思ったのですか。

高校生くらいの頃から「専門職につきたい」と漠然と考えていました。理系だとプログラミングを身につけてIT系の仕事に就く、みたいなルートが見えやすいのですが、文系だとそういうルートってあまりなさそうで、何かいい資格はないかと考えていた時に、親が話していた会計士のことを思い出して、会計士になれば専門職には就けるな、と考えて公認会計士を目指し始めました。

-いつ頃から公認会計士を目指し始めたのですか

東北大学に入学する直前くらいですね。私は東北大学に入り直しているのですが、前の大学にいた時には公認会計士になろうとは思っていませんでした。勉強は大学一年生の頃からしています。

-どこか別の学校に通っているのですか、それとも独学ですか。

学校に通っています。

-二つの学校で同時並行で勉強するのってとても大変だと思うのですが、両立させるコツとかはありますか。

時間管理と体調管理ですね。過去にダブルスクールをしていて体調を崩してしまい、結局合格が遠のいてしまったこともあったので、体調管理をしっかりする、睡眠をしっかりとる、その上で無駄な時間を作らないようにスケジュールを管理する、というのが重要だと思います。

-確かに、体は資本ですからね。一人暮らしを始めた大学生の中にはついダラダラしてしまうという人もいると思うのですが、しっかりと時間を管理するための坪井さんの具体的な実践例を教えてもらえますか。

家では勉強しない、勉強は大学の図書館や予備校の自習室で勉強する、というふうに生活にメリハリをつけることです。

-しっかりと場所を分けることが大事なのですね。事前アンケートでは簿記の試験を受けたと答えていたのですが、それはダブルスクールで勉強していたのですか。それとも独学で勉強したのですか。

会計士試験で簿記の科目があるので取ったという感じです。

-公認会計士を目指してきて、途中で辛くなって辞めたくなることもあったと思うのですが、それはどういう風に乗り越えてきたのですか。

元々2年で合格する、3年の8月までに公認会計士になる予定で勉強していたのですが、一次試験に3回落ち、コロナの影響で試験が中止され、予定よりもどんどん遅れていった時はとても辛かったです。確かに辞めることも考えました。ただ、これまで頑張ってきた公認会計士の勉強をやめるのはもったいないなと思ったのと、そんなに生き急がなくてもいいんじゃないか、大学生は人生の準備をする期間だからと思い、もう一回頑張ることにしました。また、体調が悪くなると精神的にも落ち込むので、体調を整えることを意識していたら意外と続けられた、というのもあると思います。

-当初立てた予定を達成できなくても、気持ちを切り替えることで持ち直したという感じなのですね。人生は長いし、大学生は人生の準備をする期間、という言葉がすごく響きました。専門職につきたいと思ったのはなぜですか。

専門職の方が食いっぱぐれないっていうのが大きいですね。あと、自分が女性というのもあって、子育てや出産のことを考えたときに、すぐに復帰できるのが専門職だと思うので、専門職に就きたいなと思いました。東北大学に入る前にいた大学の学部は、文系の入試で入学したけれども中身は理系で、それこそプログラミングをメインにやっているような学部でした。前の大学を辞めていなかったらプログラミング系の専門職に就いていたと思います。

-なるほど。しっかりと将来のことを考えた上での選択なのですね。それを踏まえての質問なのですが、事前アンケートの将来の夢の欄に「公認会計士兼教師」と書いていたのですが、これは公認会計士と教師を両立させたいということなのでしょうか。

そうですね。会計士はフルタイムで働かなくてもいい職業で、非常勤の求人も結構たくさんあります。それこそ、学生で資格を取った人は大学の授業も受けつつ社会人として働くこともできます。割とニーズもある職業なので、30代でも非常勤の仕事はできます。教師も似ていると思っていて、特定の科目だけ教える講師で担任は持っていない先生っていると思うんですけど、そういう形で公認会計士と教師の両立ができるんじゃないかなと思っていて、今教職科目も履修しています。

-なぜ教職をとっているのでしょうか。

教職を取り始めたのが最近で、私は大学院に進学するので修士課程の間に教職は取れればいいかなと思ってやっています。教師になるつもりは全くなかったのですが、教育員会から派遣された現職の教員の院生を見ていると、テストの研究をする上で実際の教育の現場を見た方が机上の空論ではない議論ができると考えました。ですので教職を取ろうと思いました。

-ということは、将来の職業として、というよりは教育の議論をする上で知っておくべきことだからという理由のほうが大きい感じでしょうか。もう一つお伺いしたいのは、大学院に進学する目的です。卒業後のキャリアで役立てたい何かがあって大学院に進学されるのでしょうか。

そこはあまり考えていません。4年生の1年間だと全然しっかりした研究ができないと感じたので、もっとちゃんと研究するために大学院に進学して研究しよう、という感じです。

-なるほど。坪井さんは公認会計士という明確な目標があって、そのためにダブルスクールをしないといけない、スケジュールもしっかりと管理する、というふうに考えて動いていたのだと思うのですが、それはかなりストイックだと思っていて、少なくとも私はそういうストイックな大学生活は送れないなと思いました。明確な目標があるからこそ頑張れるというのはあると思いますが、やはり1年生の頃から明確な目標を持ったほうがいいのでしょうか。

そういうわけではないと思います。将来やりたいことが明確に決まっている学生の方が少ないと思っていて、私の友人を見ていてもそうではない人の方が多いです。また、将来の目標が決まっていないからダメだということではないですし、将来の目標が明確ではなかったからといってダメになるわけではないので、興味がある授業に出席したりする中で自分の興味を徐々に固めていけばいいと思います。

◇どんな形でも良かったと思える大学生活を
-東北大学、そしてその中でも教育学部を選んだ理由を教えてください。

正直にいうと、元々は違う大学に行きたくて、学部も法学部に行きたかったのですが、センター試験の成績で結構厳しいかもしれないとなってしまって。ただ、子どもの発達とかにも興味があったので、そういうことが勉強できるところとして教育学部も魅力的だなと思って教育学部を選びました。東北大学も、駅から近いし、国立だし、施設や学生支援もしっかりしていて大学ランキングでも上位に入っているということで、ここならいいかもしれないと思って選択しました。

-東北大学が第一志望だったわけではないということでしたが、東北大学で過ごしてきた4年間を振り返ってどうでしたか。

すごくよかったと思っています。特に、研究室の規模が小さいことがとてもよかったです。私の研究室は3年生が一人、4年生も一人、大学院生も各学年一人ずつ、とかなり小規模で、多分ですけど私立大学とかだとこういう研究室ってあまりないと思うんですよ。先生一人あたりの学生の数が少ないので、かなり研究しやすいと感じています。あと、東北大学の図書館は、蔵書数が多く、勉強するスペースもたくさんあっていいですね。キャンパスに緑が多く、少し歩いたら植物園があったりするのも魅力だと思います。

-私も大学を選ぶときに緑があるところがいいと思って選んだのですごくわかります。大学1年生の頃に楽しみだったこと、楽しかったこと、反対に不安だったことは何かありますか?

サークルがとても楽しみだったのですが、結局入ったサークルをすぐに辞めてしまったので入っていなかったも同然でした。そこはうまくいかなかったポイントなのですが、4月の新歓はすごく楽しかったです。また、東北大学は総合大学なので、いろいろな学部の人と交流できるのかなって思っていて、そこも楽しみでした。不安だったのは一人暮らしです。実家に帰りたくならないかなあ、とか。あと、授業がすごいきつかったらどうしよう、とか、授業でいっぱいいっぱいになっちゃったらどうしよう、とかですね。

-サークルが楽しみだったけれどもすぐに辞めてしまったとのことですが、その経験を踏まえてのサークル選びのポイントはありますか。

結構たくさんのサークルに入ってもいいんじゃないかなとは思いますね。私は公認会計士の勉強が忙しくて行く時間がなく、サークルを辞めてしまったのですが、ゆるいサークルに入っておけばよかったなと思います。サークルに入っていると上下のつながりとか他学部とのつながりとかができるので、あんまり興味がなかったとしてもとりあえず入ってみるというのはいいと思います。まあ辞めようと思えばいつでも辞められるので。

-最初はとりあえず入っておいて、自分の生活リズムに合わせて取捨選択をする、ということですね。授業が不安だったと言っていましたが、実際どうでしたか。

出席をとる授業ばかりだったので、スケジュール的にきついこともありました。ですが、普通にやっていれば単位は取れますし、そこまで怖がるほどでもなかったと今では思います。

-確かに、ダブルスクールをしていたらスケジュール管理も大変ですよね。大学生活をスタートする上で意識していたことや目標にしていたことはありますか。

自堕落な生活にならないように、規則正しく生活する、というのは意識していました。目標としては、公認会計士の授業だけではなく、大学の授業でも興味があることを見つけてしっかりと勉強したいな、と考えていました。

-公認会計士の勉強だけでなく大学の勉強もしっかりとやる、ってすごい素敵なことだなあ、と思っていて、勉強したいことを見つけようとしている新入生にアドバイスするとしたらどういう言葉をかけますか。

とりあえず興味を持った授業に出てみることです。私が理由していたヨガの授業みたいな授業っぽくない授業というのもあって、そういう授業では普段だと話さないような人と交流できますし、そこでの会話から新しい視点が得られることもあります。もう一つは、学部の授業も偏りなく履修することですね。例えば、教育学部では心理学系と教育学系にコースが分かれるのですが、心理学系に行きたいからといって心理学系の授業ばかり履修するのではなく、両方の授業をとってみると意外なところで楽しそうだと思える何かが見つかったりします。

-ヨガの授業はカレントトピックスでしょうか。他にもカレントトピックス系の授業は履修していましたか。

他には履修していなかったのですが、友人が履修していた新聞社に行って話を聞くという授業が面白そうでした。

-大学一年生の時の出来事で、印象的だったことはありますか。

被災地のボランティアの基礎ゼミです。自分たちでボランティアの企画をして、仙台市内にある被災した人が住んでいる復興公営住宅に行って企画を実施しました。準備から大変だったのですが、他の学部の人と一緒に企画から実行までするというのが印象的でした。私はボランティアをやったことがなかったので、特に印象的でした。

-高校生まででボランティアの経験がある人はいるかもしれませんが、ボランティアの内容を一から企画するというのは大学生ならでは、という感じがしますね。その時の経験が今活きているというふうに感じることはありますか。

企画をするにあたって自分の考えを言わなきゃいけないことが多くて、誰かの意見に対して自分の意見を話してみたり、それを踏まえて新しい案を提案したりすることが結構あったんですが、それが研究に活きている気はします。自分で考える力というのでしょうか。人と交流する力も身についたと思います。

-高校まで以上に大学では自分の考えや意見を発表する機会が増えてくるので、自分で考えて発言するというのは学びの転換にもつながる話ですね。基礎ゼミ以外にも、何か自分の能力が鍛えられた機会はありますか。

大学2年生の時に学部の中で自主ゼミをやっていました。そこでは、論文を読んでそれに対する批判的な意見を出すことをやっていました。みんなで集まって一緒に勉強するまでいかなくても、興味のある論文を読んで批判的な意見を出してみる、みたいなことでもやってみるといいのかなと思います。

-2年生以降で特に意識していたことは、やはり公認会計士の勉強ですか?

そうですね。ただ、研究室をどこにするかも結構悩んでいました。やはり経済学部に変えた方が公認会計士の勉強がやりやすいのかなとも思ったので、転学部も考えていました。

-結局転学部はせず、教育学部に留まることを決めた理由はなんだったのですか。

教育学部で学びたいことが見えたからです。転学部をするなら3年生から経済学部に行こうと思っていのですが、教育学部の授業を受けているうちに教育も結構楽しそうだと感じ初めて、やりたい研究や行きたいコースも定まってきたので、あえて学部を変えなくてもいいと思いました。また、経済学部にいって会計士の勉強をしても、同じようなことだけやっている感じがして、つまらない人間になりそうだなと思ったのも転学部をやめた理由です。あえて全然違うことをすることで、いつか意外なところで役に立つんじゃないかとも思ったので。

-大学4年間いろいろと経験してきたことを振り返って、やっておいた方がよかったと思うことはありますか?

サークルにちゃんと入っておけばよかったと思っています。今はサークルには所属していませんし、コロナとかで大学に行く機会も減ってしまい、上の学年にも下の学年にも知り合いがいなくて、知り合いも教育学部だけなので、交友関係がすごく狭くなってしまいました。その点、サークルに入っていたらもう少し人間関係が広がっていたのかもしれないとは思います。

-自分が行きたい学部とは違う学部で学んでいるということを話していましたが、例えば、私がいる工学部でも入試の成績で第一志望の学科に入れなかったという人がいるので、本当に行きたかったところではないところで勉強している、こんなはずじゃなかったと思っている学生は特定の学部に限らず広くいると思います。そういうモヤモヤを抱えた学生に対して、何か一言アドバイスなどはありますか。

もしも学科を変えるとか、学部を変えるとか、そういうことができるのであれば思い切ってやってみればいいと思います。色々な選択肢があると思っていて、私みたいに大学を入り直すという選択肢もあれば、いろんな授業を履修して自分が興味をもてるものが見つけるというのもありだと思います。私の知り合いでも、学部はとりあえず卒業して、大学院で別の行きたいところに行くという人もいます。後悔しないようにやるのが大事で、そのための選択はなんでもいいと思います。

-最後に、このインタビューを見てくれているであろう来年度の一年生に向けてのメッセージをお願いします。

これを読んでくれている人の中には、自分が望んでいた通りの結果ではない大学生活を送ることになる人もいると思います。ですが、望んでいない状況にあるとしても、興味があることを探りながら色々なことにチャレンジしていけば、そのうち新しいやりたいことが見つかったりするはずです。そういうチャレンジ精神をもって、大学生活を頑張ってほしいと思います。