青山敦さん
東北大学工学部 化学・バイオ工学科3年
ベンチャー支援学生団体「TIDE」代表、学生国際交流団体「TUSTEM」代表
スタンフォード大学 UIF称号
学部1年生の時から積極的に課外活動を行い、これまで多くの功績を残してきた青山さん。
例えば、工学部が用意するプログラムに参加してデザイン思考を学修し、スタンフォード大学d. schoolユニバーシティ‧イノベーション・フェロー(UIF)の称号を得る。学生の課外活動を応援する学生団体「TIDE」では、その設立当初から活動を牽引している。
同学年の「一歩先」を行く青山さんは一体どのような考え方で今までのキャリアを歩んできたのか、また、どのような将来のビジョンを描いているのかをインタビューで伺った。
作成日:2023年2月
編集:倉部彰土(工B1) 平井宏樹(工B1) 内田智大(工B1) 阿部斗眞(工B1)
Topics
1.人と違うことにチャレンジ
2.人と違うけど、人に寄り添う
3.チャレンジがチャレンジを呼ぶ
4.実は勉学は優秀ではない?!
5.将来に見据える3つの夢
人と違うことにチャレンジ
僕は人と違うことがしたい、他の人がやらないことをやりたいと思っていました。だから特に課外活動に1年生のときからチャレンジしていました。もともと僕はビジネスに興味があり、また学んだり開発したりした技術を事業化してお金を稼げるようにしたいと考えていました。その予行練習としてクラウドファンディングをしようと思っていました。また、私の人生設計上で重要なことの予行練習として、学生団体設立などの課外活動にもチャレンジしていました。
「人と違うことをしたい」というのが、僕の中で様々な活動をするモチベーションになってます。父親から他人と違うことをしなさいという教えを受けていたというのもありますが、自分の根幹には目立ちたがり屋なところがあるので、その気持ちに素直に行動しているという感じですかね(笑)。僕他の人がやらないことばっかりやっていたので、「青山くん昔から人と違うことばっかやってたの?」とかよく聞かれるんですけど、実は違うんです。小学校のときには学級委員長とかをやっていたこともあったんですけど、中学校入ってから自分のリーダーシップじゃ、なんか上手くいかないと感じたのでリーダーのようなことはやらないようになったんですね。でも、例えば、僕の高校に元々なかった軽音部を創部しようと動いてみたりだとか、学祭をもっと盛り上げるためにテーマソング作ったらどうですかと言ってみたりだとかということはしていました。
今大学でやっているようなビッグなことは全然してなかったんですけど、人と違うことをして目立ちたい!という気持ちはずっと持ってたんだと思いますね。その気持ちが大学に入って形になったという感じです。決して小さなころからずっとこういう活動をしていたわけではないです。
人と違うけど、人に寄り添う
「人と違うことをしたい」という気持ちがもとで始めた学生団体の活動でも、リーダーとか代表として人をうまくまとめていくには、他者と同じ目線で考えていかなければいけないんですよ。ただ違うだけではチームとしてやっぱりまとまらないから、「人に寄り添う」ってことが重要なんです。リーダーの仕事として人の意見を拾い上げていくことが重要になるんですね。
でも、話し合っていく中で、全ての人の意見を拾い上げることは難しいんですよ。そうすると、「意見を出しているのに全く参考にされない」という人もグループの中には出てきてしまいます。そうすると、その人の活動へのモチベーションはガクッと落ちてしまいます。これだと、結果的にはリーダーとしての役割が機能していないんですよね。そんなときに僕は、まず意見を出したことに対して、その人に深く感謝を述べたり褒めてあげます。「その意見めっちゃええやん!!」「こないだの〇〇の意見、採用できへんかったけど出してくれてありがとうな」。この一言があるだけで、前向きな気持ちに少し慣れるので、その人のグループへの参加のモチベーションは変わってきます。または、その人の意見を必要な要素だけでも少し取り出して採用してあげることが大切になってきます。例えば「〇〇の意見の△△の要素はここと似てるところがあるからこんな感じでまとめることできるんちゃう?」と声をかけてあげるんですよ。このように、相手の気持ちを考えて意見をまとめ上げていく。つまりは、相手と同じ目線に立って、寄り添ってあげることがリーダーとしての活動には必要になります。
国際交流団体のTUSTEMの代表をやっていて、その活動の中で留学生の意見を聞いていると文化の違いがよくわかる場面がよくありました。例えば、アジア人に比べてヨーロッパ人の意見がアグレッシブになりやすいという傾向にあるんですよね。それが悪いこととかではなくてアグレッシブな意見でももちろん素晴らしい意見はありますよ。自分がアグレッシブな意見を聞いたり採用したりする分には良いんですよ。でも、もしその意見を先生とかに提案してやる企画だった時に、その意見を額面通りそのまま伝えたらもちろん先生側にNG出されてしまうんですよね。その時には、その意見をどのようにソフトに他の人に伝えれば良いのか、相手の目線になって考えることが求められるんですよ。「常に人と違くありたい」という気持ちで始めたリーダーとしての活動なんですけど、人と同じ目線に立って人に寄り添って話を聞いて一緒に考えるってことが大事なんですね。
チャレンジがチャレンジを呼ぶ
皆さん僕の経歴を聞くと、こんなに色々取り組んでいて積極性がすごい!と感じるかもしれませんが、でも、自分から何か課外活動を見つけてガツガツやっていた訳ではないんです。むしろ他の人に勧められて始めた活動の方が多いですね(笑)
周りの人、特に授業で出会った人が「青山くんこんなんあるよ」ってたくさん声をかけてくれたので、やってみたという感じです。一つ例を挙げると入学当初、国際戦略講座(旧:国際戦略リーダー講座)という授業に参加していたんですよ。その授業を受けている中でUCバークレーの先生がデザイン思考の授業をしてくれたんですけど、その先生がアメリカンな陽気な人で授業が受けやすくて。日本語ではなくもちろん英語での授業だったんですけど、「Awesome!」ってめっちゃ褒めてくれたんですよね。そして、国際戦略講座が終了してから、春休みになってその先生の授業をオブサーバーとして聞いてみませんか?という話をいただいたんです。ビジネスの話もしてくれるし、人柄がいいから受けるハードルが低かったのに加えて、英語はできないけど聞くだけなら授業についていけそうと感じたので受けてみようと思ったんです。ただ、オンラインで海外の現地の時間に受ける関係で、朝早くか夜遅くに授業に出なくちゃいけなくて、みんな脱落していっちゃって(笑)。生き残りが僕だけになって、先生に目をつけてもらえたんです。そんなことがあって課外活動のきっかけを紹介してもらえるようになって大きな活動をさせてもらえるようになりました。
スタンフォードのUIFプログラムは、その授業をきっかけに参加したものですね。このUIFプログラムも工学部の先生に「青山君こんなプログラムがあるんだけど良かったら参加しない?」と連絡をもらいまして。最初は忙しくてそれを無視していたんですけど、3回ぐらい個人でメールを送られてきて、いやさすがに出なあかんやつかと思って参加しました。もちろん、もともとビジネスには興味がありましたし、「学んだり開発したりした技術は実際に事業化してお金を稼げないと意味ないよね」っていう考えとかもあったんで参加しました。
また、クラウドファンディング企画はきっかけを先輩からもらって、事業化する流れを学びたくて参加しました。あとは明確なアイデアがなくても、「こんなことやってみたい!」って人に自分の希望をたくさん言っていたことも、今いろんなことにチャレンジするきっかけになっていますね。デザイン思考の授業をしたいって言っていたら、授業をする側になるっていう機会も頂きました。
このような感じでやりたいことをどんどん言ったり、何か新しいことを一つチャレンジすることで、周りの人から次から次へとチャンスをもらえます(笑)。僕のやっていることは自分一人で思い立ったことばかりではなくて、一つのことから数珠つなぎになっている感じなんです。
勉学は優秀ではない?!
こんなに活発に活動していると、青山君さぞかし学業も優秀なんじゃないかと思われるかもしれないですけど、そんなことはないです。むしろ下の方なんじゃないかなと思っています(笑)。課外活動や学業などいろいろやることがあって結構大変で、僕は学業との両立に関しては少なくともこの前のセメスターに関していえば失敗しました。何で失敗したと言えるのかというと、4つ授業を落としたからです(笑)。クラファンでお金を集めたり、イノベーションフェスティバル(東北大生を対象にアイデアを出すきっかけをつくるために行われるイベント)をしたりしないといけないな、勉強もやらないといけないなって、いろんな方向から声がかかって苦しんでいたら体調崩したんすよ。40度の熱が出ちゃって…(笑)。テストの時期バタっと倒れたんで、4つ授業を落としました。やらかしですね。こんなんですから、東北大学の中でみると、僕はまだまだで、僕よりできる人、優秀な人っていっぱいいるんです。
でもそんな勉強のできる優秀な彼らが社会で活躍できるかっていったら、僕は申し訳ないですけど必ずしもそうではないと思っています。彼らには自分の持っているものを伝える力と、それをソフトにして相手が受け入れやすくする力が足りてないことが多いなと思っています。僕が実際それを踏まえてどういうことをやりたいかっていうと、彼らが持っている難しい知識を、その難しい知識はわからない、でも、そういう技術が欲しいなと思っている人たちの橋渡し役になりたいなと思っています。なので、それはもしかしたら営業かもしれないし、もしかしたらどこかの部門の小さいリーダー、チームリーダーかもしれないし、そういったところで技術を持っている人間とその技術がわからないけれどもその技術を欲している人間を繋ぐ橋渡し役的な人間になりたいなと思っています。
化学工学の知識を使ってどうやってプラントを組み立てますかっていうところの技術者として働きたいとも思っているんですけど、僕よりももっとその仕事に適した人間はいると思っているんですよ。なので、僕は将来、技術を他の人に伝えるという自分が他の人に比べ得意なことを活かして社会で活躍したいと考えています。
将来に見据える3つの夢
これまでは在学中の話を中心にしてきましたが、僕には、三つの軸で、卒業後に叶えたいキャリアプランがあるんですよ。大学院には進学したいと思っているので、その後のプランですね。
1つ目の軸は「社会」です。ボーイング787の素材を作った日系企業にはいって、経営に参画していきたいと考えています。そして、日本のみんながワクワクするような製品を開発したいですね。具体的には僕は人よりも、「伝える力」に長けていると思うので、エンジニアの難しい知識と経営に参画している人たちをうまく結びつけることに重点をおいて仕事をしたいです。そして、その会社での活動を通して、ゆくゆくは日本の若者が「日本の将来は明るい!!」と思えるような社会にしたいと考えています。
2つ目の軸は「個人」です。個人としては、意見をどう伝えるかという観点に置いて教育の仕事にも興味を持ち、教員免許のための勉強をしています。現在も中学校・高校の教員免許の取得のために教職の勉強を頑張っています。これらの三つの軸での目標達成のためには、現在地と目標地点との距離を意識して細分化して考えて行動することが大切だと思っています。自分の現在地と目標地点の距離が確認できればあとはその距離を徐々に詰めていけば良いと思うんですよね。
3つ目の軸は「家族」です。自分の家庭を持って子供を育てるという経験をしてみたいと思っています。
最後に、僕にも言い聞かせる気持ちで、みんなへの言葉を贈りたいと思います。「とりあえずやってみよう」という気持ちを持ってチャレンジしてみてください。個人的には口に出したことは全てできると思っています。どんどん周りの人間に自分の目標を話して、与えられたチャンスにはチャレンジしていってください。ありがとうございました。