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先輩の声

論文も専門以外の授業も、積極的に!

日向野航希 HIGANO Koki

(歯学部歯学科2年)

群馬県太田市出身。部活動では、中学では空手・高校では陸上を経験。

その中でも医療をはじめとして様々な分野への興味があり、文武両道であった。

大学では歯学部で医科の内容を学んでいる。将来は法歯学に携わりたいという。

 

インタビュー実施:2021年12月8日


♢スラスラ論文を読む秘訣は?

 

最近、力を入れていることはなんですか。

  大学生のうちは多くの体験をした方が良いと思い、アルバイトに力を入れています。アルバイトとしては、飲食店と警備の仕事をやっています。専門(歯科医)の進路に進んだらほとんど関わらないであろう職業を経験することで、患者さんを視る際にもそういった多様な背景がある人の事情や様子を推察できるようになるのではと思い、何か1つやることでもいろいろ見えてくるかなと。

アルバイト以外では、学問に力を入れています。専門の分野に移る前の準備として論文を読んだり日々のちょっとした疑問を解消したりすることに力を入れています。また、寮に今住んでいて他の学部のいろいろな分野の方と話をするうちに、うまく噛み砕いて説明しないとなかなか相手には伝わりにくいということに気づいたので、話す練習をしています。この経験は、専門の学修の中で患者さんを見るときに噛み砕いて説明する練習になっていると思います。さらに、フェミニズムやLGBTQ+などの話題について調べています。

 

論文を読む能力は自ら身につけたものですか。

高校時代に初めて論文に触れたのが論文を読み始めた一番のきっかけですが、主に「体と健康」という授業で論文を読む能力を身に着けました。その授業で永富先生から、分析疫学という研究の仕方について考える分野があり、因果関係をうまく整理するための思考法があると聞きました。どちらかというと論文を書く際に大事とのことですが、読むときにもそういったところに注意をすることでその論文の正当性が考えられると思うので、今のうちから注意して見ていこうと思っています。また、論文自体が日本語だったり英語だったりして、そもそも読むのが大変ですが、その中で表とか実験について見ていこうと考えています。

 

どういう判断基準を持って論文を決めていますか。

教授に、論文を読んで調べる時にどういったキーワードで調べたらいいかということについて伺ったことがあり、そのときにアドバイスをいただきました。”Pubmed”という医学関係に関する論文を調べる際に使えるデータベースがあり、それを使って調べると査読済みの論文が出てくるので、一定の信頼を置いて読んでいます。一番いいのはいくつかのキーワードで調べることですが、それについて出てきた論文が何個かあると思うので自分が知りたいことに近いものをいくつか選んで何個も読んでみることがオススメです。また、「総論」はいろいろな論文から引用してきてさまざまな意見について触れているので読んでみてもいいと思います。

 

論文を読むのに抵抗がある人が多いですが、読む上でコツやアドバイスはありますか。

結果(Discussion)や要約(Abstract)のような論文の趣旨がまとめられた内容を読み、大体の内容を把握した後に、自分の見たいところを先に頭に入れて、そこから調査の目的や内容・実際の実験の手法を見ていくとわかりやすいというのは聞いたことがあります。実際に、自分の感覚だとやっぱり英語の論文を読む時は英語力がないとしんどいです。どちらかというとReadingの技能になってくると思うので、その技能を上げていくのと同時に別の論文を読んでいくと読みやすくなっていくと思います。最近では、DeepL等の機械翻訳サービスもあり、英語が得意でなくとも読めるようになっています。医療系以外だとGoogle Scholarを使うといいと思います。自分の興味があるものを読むのが一番上達します。

現在、大隅ゼミに所属していますが、こちらでは月に一回一人の学生が医療系論文を紹介するという活動を行っています。初めて論文を読む方でも先輩や大隅先生が図の読み取り方や実験手法などを説明してくださるので、医療系の学生が論文に触れてみたいという場合はオススメです。医療系以外でも、参加してみると発見があるかもしれません。

 

 論文を読んだり他の分野の人に自分の専門分野を説明したりする時に、面白さややりがいを感じるところはありますか。

論文は意見の殴り合いをするための道具のようなもので、絶対に正しいわけではないので、他の研究者がその論文を読んでこれはいいと認められた査読済みの論文でも他の意見を取り入れていることがあります。あることを主張している人に対して反論を書いた論文もありますし、様々な論文を読んで自分が知りたいことを探していくのは大変ですが、研究に近いことをやっていると実感しています。考えていく過程がだいぶ楽しいです。他の分野の人に説明するやりがいに関しては、先生がうまく内容を伝えようとする時に近いです。先生が生徒に何かを説明しようとして生徒が分かってくれたときに近い感覚だと思います。

 

♢法歯学を学ぶ、だけどそれ以外も学ぶ!?

 

日向野さんが、大学生活の中で専門的に学んでいることについて教えてほしいです。

2年生のうちは医科の内容、人体の構造を知る解剖学だったり人体の細かい細胞や組織を観察していく組織学だったりをやっています。歯科に近いものとしては、歯科材料学と口腔解剖学という歯についての構造を勉強しています。歯の解剖をしたり、歯科材料という金属の詰め物やレジンというプラスチックの詰め物を化学の重合反応を使って作ったりしています。

専門の授業の中で複数人の先生が講義してくださる授業があるのですが、1つの科目の中でいろいろな分野に分かれていて、先生方が教えてくださる各分野が大きく見たら近い分野で、つながりが見えることが楽しいです。

 

将来の夢・ビジョンとしてどのようなものを思い浮かべていますか。

ここの大学に入った理由とも重なるのですが、法歯学の研究に携わりたいと思っています。法歯学は、災害時にご遺体の歯形を取って、歯科医院などの記録と照合して身元を判明させるという学問です。また、東日本大震災の時に福島原発で放射線が放出されて、人体に被害が出たと思うのですが、歯はリン酸カルシウムというものが含まれた結晶でできていて、他の人体の部位と比べて変化しにくく、何か影響を受けた時にそこだけが残るという性質があり、放射線に関して歯に影響が残っているので、時間を経るごとにどういった影響が残っているのかを調べることができます。例えば、東日本大震災の原発の事故があった場合に時間と放射線、歯に残っている放射線の量をグラフにして、その影響を考えるというのを聞いたこともあります。さらに、考古学に近いのですが、食べたものや歯垢にいろいろな情報が詰まっていて、そこから食べていたものなどの情報が得られるんです。そういったことも法歯学の1つにはあると思います。本学では法歯学の中でも復顔という顔面の状態を再現する分野の方が中心だそうです。しかし、最近でも身元確認に関する論文が出ていたので、全く扱わないわけではないようです。歯の発生という面も本当に興味深いものがあって、iPS細胞から歯を作るという研究も進んでいる面白い分野です。

 

将来に向けて2年生から目標にしていたことや意識していたことはありますか。

今のうちから解剖学など法歯学につながるであろうものをしっかり勉強しています。将来の進路として、法歯学分野の教室に入る・一般の医学部で開かれている法医学の教室に入ってそこで法歯学者として働くという2つがあるのですが、調べたところ法歯学者自体が日本で20人以下みたいで、ちょっとマイナーな分野というのもあり難しいかもしれないと思ったので、今のうちにやっておくべきだと思いました。いろいろなことをやっておくことで、多くの反応が関わってくると思うので、医化学という体内の代謝を扱う学問などもしっかりやっていくことが新しいことを見つけるには必要だと考えます。

 

将来の夢を持っていることがここに入った理由の1つだという話がありましたが、学部学科を選ばれた理由と東北大学を志望した理由を教えてください。

東北大学を選んだ理由として日本で3番目の帝国大学ということがひとつあります。また、キャンパスが宮城にあることで、大学が東日本大震災を経験していることも大きな理由です。法歯学者は、災害が起きたときに行方不明者や亡くなった方の身元を判明させるために働くことがあります。東日本大震災は大規模な災害で、亡くなった方も多く、そういった法歯学のノウハウが蓄積されているからです。

 

大学1年生の時に大学生活をスタートする上で意識していたことはありますか。

やはり法歯学の方に行きたい気持ちがあったので、生物系は頑張ろうと思っていました。あと「自然科学総合実験」という理系の学生がやる科目があったのですが、論文を書く練習に近いことができたので、将来につながると思いながら頑張っていました。また、必修の科目にプラスして専門には直接関わってこない分野の科目を取ることで、リベラルアーツに近いことをしていました。もちろん日本なので歯学部で歯学をやる形ではあるのですが、元々幅広い分野を学習してから専門を決めるリベラルアーツの制度がいいなと思っていたので、本当に専門以外でもいろいろな分野をやりたいと考えていました。

 

モチベーションはなんですか。

モチベーションは、「大学来たから何か面白いことやってみたいな」という好奇心です。1セメスターの時に取っていた「異文化理解」で多様な考えがあることを知りました。こういった専門とは違う自由な分野があったので、いろいろやっていたらつながるのではと考えてやってみたら偶然つながったんです。例えば、文化人類学で何かを行うときに儀式を行う際に、分離・統合など3つの過程があったのですが、その過程が宗教学でも同じようなことが言われていました。また、心理学で出た内容が哲学と近い内容で、違う分野を取っているはずなのにつながったというのがちょっと面白かったです。少しでも興味があったら、すぐにやってみた方がいいと思います。

 

今までとった学問が生活につながっているなという経験はありますか。

 

今の生活に生きているところとして、文化人類学が多分一番つながったと思っています。授業の中で、結婚についての話題があったのですが、夫婦別姓という制度について先生が実体験を持っていらっしゃって、その時の不便だった点とかを説明していらっしゃいました。その数カ月後くらいに選挙ということもあって、話題になって世間に広く知れわたったということがありました。また、文学の授業で韓国の文化について勉強したのですが、特に音楽についてBTSが話題になりました。他にも宗教学の授業で、スピリチュアルケア師という方がいらっしゃって、宗教のいろいろなことをもって東日本大震災で被害に遭った人の心をケアすることがあると聞いて、そういった世の中の話題と学問がしっかりつながっていることが確認できて面白いなと思っています。

 

最後に、1年生に向けてメッセージをお願いします。

周りの人を見ていて、「他の人が取っているから自分も取る」という傾向があるように感じています。なかなか進みにくいかもしれないですが、「自分自身」が面白いなと思ったら積極的にやってみることが、本当に自分のためにもなりますし将来のためにもつながると思います。アンテナを張っていろいろなことに目を向けて、何か機会があったら早めに取り組むというのが大学を楽しむ上で面白いことだと思います。